だいぶ前に職場の人から澤木興道全集をお借りしました。
なかなか興味深いことが書いてあるのですが、すんなり読むという内容でもなくて他の本や用事を優先して、2/3ぐらいのところまで読んで、
「あんまり長くお借りしては申し訳ないから、返そう」
と、昨日お返しました。
すると、
「武道の話は読んだ?」
と聞かれたので、終わり頃にあるその章を読んでない私は正直に
「読んでません」
と言いました。
「そこだけでもいいから、読んでみて」
と、また貸して下さったので、先ほど読みました。
読んでよかった。
まさに武道の勝ち負けというか、失敗のことでゴチャゴチャ悩んでいた私の、腹にストンと落ちてくる内容でした。
優れた本はいつも、その時の自分に必要なことを教えてくれるものです。
この本に出会えて、よかったなあ。勧めて下さった職場の人に感謝です。
「負ける事なし、勝つ事なし」
武道とはそういうもの。そこまでの境地に行くのが、難しいというか、遠いというか。
章の終わりに出てくる山岡鉄舟の言葉が、またいいのです。
「行く先に我家ありけり蝸牛、悟らぬも悟るも同じ迷いなり、迷はぬ先を悟りとぞ云ふ」
座禅で有名な澤木さんも、山岡さんも同じことを言ってる。
生きているうちに、私がそこまでたどり着けるのかな。果てしない道のりであった。